ロシアによるウクライナ侵攻から1000日-ポーランドの支援-
19.11.2024
ロシアによるウクライナへの全面侵攻は、2024年11月19日で1000日目を迎えました。実際には、ロシアによる侵略は2014年のクリミア不法併合から始まっていました。挑発によらざるロシアの侵攻は第二次世界大戦以来、最も深刻な人道危機を欧州にもたらしました。ポーランドは戦争勃発の直後から政治、人道、財政、軍事の多角的な支援をウクライナに対して実施してきました。ポーランドはウクライナ支援額のGDP比(4,91%)で圧倒的な一位を占めています。
ポーランドは他国に先駆け、ウクライナに対し重装備の大型兵器を大量に供与しました- 戦争勃発当初から32億3000万ユーロを充当しています。供与された装備品は、主に戦車、歩兵戦闘車、装甲兵員輸送車です。更にウクライナ空軍にはMiG–29 戦闘機14機およびMi–24ヘリコプター12機が供与されました。ポーランドは戦傷したウクライナ兵をポーランドの病院で治療するなどの医療支援も行っています。
ポーランドはその地政学的位置から、ウクライナへ人道・軍事支援を届けるための最大の輸送ハブとなっています。2022年前半期だけでも、EUが行った支援(約8億ユーロ)の80%以上がポーランドのUCPM (EU市民保護メカニズム)物流拠点を経由して届けられました。この間にポーランドが行った物的支援の総額は4億1500万ユーロにのぼります。
ロシア軍はウクライナのエネルギー・インフラを定期的に攻撃対象にしています。欧州委員会の試算では、この数か月間に80~90%の暖房システムおよび30~50%の水力発電所が破壊されました。ウクライナのエネルギー事情を緩和するため、2023年にはポーランドにエネルギーに特化した物流拠点rescEU が新設されました。このエネルギー・ハブを通じて既に数千台の発電機、変圧器および交換部品がウクライナに供給されています。
国連難民高等弁務官事務所の推計では、現在も98万人のウクライナ避難民がポーランドに滞在し、その大半を女性と子供が占めています。2022年から23年にかけてのピーク時には350万人にのぼりました。戦争勃発からわずか1か月後に、ポーランドは「ウクライナ領土内における武力紛争に係るウクライナ国民支援法」を可決し、ウクライナ避難民の滞在を法制化し、PESEL番号(日本のマイ・ナンバーに相当)を 発行しました。これにより、避難民は多様な公的サービス、家族手当、児童手当、財政支援、無償医療、心理カウンセリングを受けられるようになりました。
これまで、77%のポーランド人がウクライナ避難民の支援活動に参加しました。ウクライナ支援の募金活動、ポーランド・ウクライナ国境におけるボランティア活動をはじめ、自宅にウクライナ避難民を受け入れる人も多くいました。ポーラン人のそうした努力の甲斐あって、今日に至るまでポーランドにはウクライナ避難民用の難民キャンプは一つも存在していません。
ポーランドは政治、外交ルートを通じて弛まずウクライナを支援しています。ロシアによる攻撃の前日、アンジェイ・ドゥダ ポーランド共和国大統領はキーウで行われたギタナス・ナウセダ リトアニア共和国大統領との会談において、ウクライナはEU加盟候補国に値すると述べました。ポーランド大統領はこれまで何度もウクライナのNATO 加盟を呼びかけています。
正当性の無い、挑発によらざるロシア連邦の侵攻により、ウクライナは多くの人命を失い、膨大な経済的損失を被っています。今後の最も重要な中期的課題の一つは、ウクライナの戦後復興支援です。ポーランド政府は戦争により破壊された医療、教育インフラおよび公的施設の再建に向け、既にウクライナの行政機関と協力しています。ウクライナの復興および近代化にはポーランドの民間企業も参加する予定です-ポーランド投資貿易庁(PAIH )が開設した復興事業に関心のある企業のデータベースには、建設、エネルギー、農産物・食品、製薬、IT 業界を中心に8か月間で2000社が登録しました。
ポーランドのウクライナ支援についての詳細は下記リンクのレポート(英語)をご覧ください。 https://www.president.pl/news/polish-aid-for-ukraine,93908