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ポーランドが欧州連合理事会議長国として取り組む優先課題

28.01.2025

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2025年1月1日から6月30日にかけて、ポーランドはEU全27加盟国の代表者から成る、最も重要なEUの政策決定機関の一つである欧州連合理事会の議長国を務めます。ポーランドは昨年はEU加盟20周年を迎えました。ポーランドが欧州連合理事会の議長国に就任するのは、2011年後半以来13年振りです。ポーランドは欧州連合理事会議長国として多くの挑戦と向き合うことになります。欧州は三年間におよぶロシア連邦によるウクライナ侵略の影響に対峙すると同時に、自らの防衛能力の強化に取り組まなければなりません。そのため議長国ポーランドは「安全保障だ、欧州よ!」をモットーに、対外、対内、情報、経済、エネルギー、食糧、健康の7つの重要分野におけるEUの安全保障の強化を呼びかけています。ポーランドが欧州連合理事会議長国として取り組む優先課題は下記のとおりです。


1.    防衛・安全保障
既に三年におよぶロシアのウクライナ侵略はこれまでの国際秩序を不安定化し、欧州の安全保障を脅威にさらしています。EU およびその加盟国は一丸となり、一貫してウクライナおよびウクライナ国民を支援し、断固としてロシアによる軍事侵攻を非難します。ポーランドは欧州連合理事会議長国の就任期間中に軍事費の拡大、防衛産業の開発、革新技術の「東の盾」プロジェクトおよびバルト防衛線といった防衛インフラへの応用(軍民両用)支援を通じてEU の防衛能力の強化を図ります。同時に、優先課題としてNATO との防衛および安全保障分野における協力を緊密化するととともに、アメリカ合衆国、英国、韓国といったEU 域外の価値観を同じくするパートナー国との連携を強化します。


2.    人びとの保護・国境 
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との闘いおよびウクライナへのEU加盟国による支援は、EUの持つ様々な危機に対する可能性を明らかにしました。ポーランドは欧州連合理事会議長国として、EUがこれまでの後手の受け身な姿勢から先手の積極的な共同体に移行することを優先課題とします。移民の道具化といったハイブリッド脅威に対するEU の対応の正当性を証明し、EU 対外国境の安全保障の確保に努めます。人の保護、危機耐性、救助活動、人道支援および国際犯罪組織、テロリズム、過激派の撲滅においてEU および加盟国が対応能力を強化することも重要な課題です。


3.    外国からの干渉・偽情報に対する耐性
権威主義国家は偽情報を EUの民主主義の弱体化に利用しています。ポーランドは議長国就任中、情報操作との闘いおよびサイバー安全保障の確保に向け、EU加盟国間の連携強化を図ります。そこで重要となるのが、第三国の干渉による危機が発生した場合にEUの情報システムが速やかに対応できる体制を整えることであり、最新の安全な情報通信サービスの開発を推進します。偽情報拡散対策もまた極めて重要です。


4.    経済安全保障・経済活動の自由の確保
現在EUの経済は、技術の急速な変化、気候変動に伴うエネルギー転換および地政学的な緊張といった多くの挑戦を抱えています。ポーランドは議長国としてEU 単一市場の統合深化、国境を越えた活動への障壁撤廃、資本調達の簡易化、各種手続きの簡素化に向けて取り組みます。安全保障にとって重要な産業を支援する最適なメカニズムの構築、グローバル競争においてEUの産業に公平なるような競争条件の回復を図ります。通商政策の見直し、通商規則の徹底、公共調達の活用を検討します。


5.    エネルギー転換
ロシアによるウクライナ全面侵攻によりロシア産ガスおよび石油の輸入量は2/3 減少し、石炭の輸入はゼロになりました。ポーランドはEU のエネルギー安全保障の強化には、第一に信頼できるエネルギー源を確保することが必至であるとし、ロシア産エネルギー資源からの完全な脱却を要請します。市民および企業に必要な量のエネルギーを手頃な料金で確保できるよう行動します。多様なクリーンエネルギーの利用拡大を目指し、そのためのエネルギーインフラを増強するとともに、技術輸入および生産過程で不可欠な輸入原料への依存を減らします。 


6.    競争力のある強靭な農業
EU の政策の優先課題の一つは、市民に高品質かつ安全な食品を適正価格で確保することです。農業従事者の地位を強化し収入を安定させるため、ポーランドは農村地域の開発を支援する強力な共通農業政策の策定を目指します。この政策は農業従事者に環境保護および気候変動対策を推進します。さらには、ウクライナを含む将来のEU 拡大がもたらす影響を視野に入れ、準備する意図もあります。


7.    健康安全保障
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックは健康への脅威に対するEU の耐性を強化する必要があることを浮き彫りにしました。ポーランドは欧州連合理事会議長国として医療分野の情報化、児童および青少年の心の健康、健康増進、病気の予防に加え、医薬品のサプライチェーンの多様化および域内における生産を支援しEU の医薬品安全保障を改善することに焦点を当てて取り組みます。とりわけ、ICT社会における児童および青少年の心の健康改善を含む健康増進対策は議長国ポーランドが掲げるプログラムの重要課題となっています。


欧州連合理事会では各理事会がそれぞれ下記の課題に取り組んでいます。:
総務理事会(GAC) 法の支配の順守、EU 拡大政策、外国による情報操作・干渉対策、EU の民主主義の強化、イギリスとの協力発展、多年次財政枠組み(MFF) 
外務理事会(FAC) ウクライナに対する政治、軍事、経済的支援の最大化、対ロシア・ベラルーシ対策の維持、EU およびパートナー国の安全保障・強靭性強化
経済・財政理事会(ECOFIN) 欧州経済の競争力強化を目的とした統一市場の効率化、EUの防衛力強化およびウクライナ支援に向けた財務
司法・内務理事会(JHA) EU市民の域内安全保障の確保、ロシアおよびベラルーシによる移民の道具化といった移民に関わる挑戦に対する包括的な対策
雇用・社会政策・保健・消費者問題理事会(EPSCO)デジタル変革時代における公正かつ安全な差別のない雇用条件の確保、医薬品安全保障、医療分野のデジタル変革、児童および青少年の心の健康、健康増進および病気予防
競争力理事会(COMPET)EU 経済安全保障の柱となる長期的な競争力確保
運輸・通信・エネルギー理事会(TTE)EUの新たなエネルギー安全保障の構築、運輸セクターの強靭性および競争力強化 
農業・漁業理事会(AGRIFISH)農業セクターの競争力の改善、危機への備え、ウクライナを含む将来のEU 拡大が農業セクターに与える影響への対策  
環境理事会(ENVI)気候変動に対する環境・社会の強靭性の構築、規制・奨励・支援策を通じた気候変動の原因および影響への対策
教育・青少年・文化・スポーツ理事会(EYCS)EU市民である若者を対象にしたキャリアスタート支援、より強靭かつ包括的な教育・訓練制度の構築に向けた教育分野におけるEU加盟国間の協力促進


ポーランドが議長国として取り組むプログラム、優先課題についての詳細は下記URLをご高覧ください。:https://polish-presidency.consilium.europa.eu/en/ (英語、ポーランド語)
 

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